精密部品を高品質・高精度で維持 JIS精級と材料

1．公差について

公差とは、図面の寸法に対して許される長さや角度のズレのことです。JISが上限と下限を定めています。

精密加工の場合、おおむね0.01㎜～0.1㎜の公差精度が認められます。500㎜未満なら0.01㎜程度の精度を出すことが一般的とされているため、それよりさらに精密な0.005㎜程度が精密部品加工において求められる公差です。

2．面取り部分の許容差について

面取り部分の許容差は、JISでいう精級と中級の範囲を目安として考えましょう。以下のように、加工品の大きさによって許容範囲がそれぞれ定められています。

3．角度寸法の許容差について

角度寸法は、面取りと同様に精級と中級の範囲を目安として考えましょう。許容範囲は以下のとおりです。

鉄鋼金属

鉄と炭素がベースとなっている金属です。鉄は金属の中で最も一般的で、多く利用されています。ただし純鉄（鉄100％）は強度が低いため、加工しづらいです。そのため、炭素や他元素を添加することで加工しやすいように性質を変化させています。

1）炭素鋼：鉄と炭素0.02～2％を足したもの

炭素鋼は炭素の割合によって低炭素鋼・高炭素鋼など分類されています。しかし、実際には「エスエス」「エスシー」など材料名で呼ばれることが多いです。鉄は炭素量が多ければ多いほど硬度が高まる特徴があるため、精密部品の目的に合わせて使い分ける必要があります。

2）特殊鋼：炭素鋼と元素を足したもの

元素を添加したもので、何を添加するかによって性質が異なります。

• ステンレス鋼：鉄とクロムの合金
• クロムモリブデン鋼：鉄とクロム、モリブデンの合金

以上が一例です。他にも様々な特殊鋼が存在します。

3）鋳鉄：鉄と炭素2.14～6.67％、さらにケイ素と元素を足したもの

炭素量が多く、融点が低いのが特徴です。熱で溶かしてから型に入れ、成形する際に用いられます。

非鉄金属

その名前のとおり、鉄以外の金属のことです。アルミニウム・マグネシウム・チタン・銅・鉛・亜鉛・タングステンなどが当てはまります。これらは単体で使用されるだけでなく、組み合わせて合金として使用されるケースも多いです。以下では合金となった金属の特徴を見ていきましょう。

1）ジュラルミン

アルミニウムを基本とし、銅・マグネシウムなどをプラスした合金のことです。軽量でかつ強度があることが特徴で、車両部品や航空機などに用いられます。

2）はんだ

鉛やスズの合金で、融点の低さが特徴です。電子回路部品の接合剤として使われています。環境や人体への影響から鉛フリー化が進められているようです。

2）真鍮

銅と亜鉛の合金です。加工しやすい・見た目がよい・殺菌効果があるという特徴が挙げられます。金管楽器やインテリア製品に用いられ、5円玉の原料としても使われている金属です。